欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2018/1/29

EU情報

欧州委、クアルコムに9.9億ユーロの制裁

この記事の要約

欧州委員会は24日、半導体大手の米クアルコムにEU競争法違反で9億9,700万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。米アップルへの「ベースバンドチップ」の販売をめぐり、アップルが他社製品を使わないことを条件にリベートを […]

欧州委員会は24日、半導体大手の米クアルコムにEU競争法違反で9億9,700万ユーロの制裁金支払いを命じたと発表した。米アップルへの「ベースバンドチップ」の販売をめぐり、アップルが他社製品を使わないことを条件にリベートを支払ったことが、公正な競争を阻害したと判断した。

ベースバンドチップはスマートフォンやタブレット端末などの無線通信や信号を制御する半導体。欧州委によると、クアルコムはアップルのスマホ「アイフォーン」、タブレット端末「アイパッド」に搭載される第4世代(4G)の高速通信規格「LTE」用ベースバンドチップについて、同社製のみを採用する見返りとして、2011年から16年にかけて値引きなどの形で数十億ドルを支払っていた。

欧州委はクアルコムがLTE用ベースバンドチップで世界最大手の地位を悪用してアップルに圧力をかけ、ライバルのインテルなど他社の製品を不当に締め出したとして、クアルコムの17年の売上高の4.9%に相当する巨額の制裁を科すことを決めた。

クアルコムは同日発表した声明で、アップルとの合意に基づく同取り決めはEU競争法に違反していないとして、違法行為を否定。欧州委の決定を不服とし、EU司法裁判所に提訴する意向を表明した。