2018/6/27

総合・マクロ

エルドアン氏再選、与党連合が過半数確保=トルコ大統領・議会選挙

この記事の要約

トルコで24日行われた大統領・議会選挙は、現職のエルドアン候補(64)が再選を決めるとともに、与党・公正発展党(AKP)と極右の民族主義者行動党(MHP)の選挙連合が過半数議席を確保した。これにより、エルドアン氏の進める […]

トルコで24日行われた大統領・議会選挙は、現職のエルドアン候補(64)が再選を決めるとともに、与党・公正発展党(AKP)と極右の民族主義者行動党(MHP)の選挙連合が過半数議席を確保した。これにより、エルドアン氏の進める実権型の大統領制への移行が完了し、政治の強権化に拍車がかかることが懸念されている。大統領の任期は5年。

選挙管理委員会の速報によると、大統領選は開票率99.2%の時点でエルドアン候補が52.6%と過半数を獲得し、決選投票を待たずに再選を決めた。最大野党・共和人民党(CHP)のインジェ候補(54)は30.8%、クルド系住民を主な支持基盤とする左派・国民民主主義党(HDP)のデミルタシュ前党首(45)は収監中ながら8.4%を獲得した。新党・優良党(IYI)のアクシェネル党首(61)は7.3%だった。

議会選挙は開票率99.1%の時点で、選挙連合を組んだAKPとMHPがそれぞれ42.5%、11.1%を得票し、過半数を確保した。CHPは23%で野党第一党の地位を守った。HDPとIYIもそれぞれ12%、10.1%と議会入りの条件となる10%をクリアして議席を獲得した。

各党の議席配分(定数:600)はAKPが293議席、MHPが50議席、CHPが146議席、HDPが67議席、IYIが44議席となる。

トルコでは昨年4月の国民投票を受けて、議院内閣制から大統領が国家元首と行政の長を兼ねる体制への移行を定めた憲法改正が行われた。今回の選挙は改正後初めて行われたもので、首相職は廃止され、大統領は閣僚の任命、議会解散、大統領令の発布など強い権限を得る。エルドアン氏は経済・金利政策及び司法分野への影響力を強化する意向を明らかにしており、市場関係者は政権継続による安定に好感しながらも、トルコ経済の先行きに懸念を示している。

高インフレ率、通貨リラ安による対外債務の膨張など、個々の問題への対処が待たれるが、来年3月の地方統一選挙を控えていることもあり、新エルドアン政権が十分な対策を講じられるかには疑問符が浮かんでいる。