2018/4/25

総合・マクロ

トルコで総選挙と大統領選を前倒し、経済の先行き懸念背景に

この記事の要約

トルコのエルドアン大統領は18日、来年11月に予定されていた総選挙と大統領選挙を今年6月24日に前倒しすると発表した。好調な経済の足元で進む通貨リラ安や、シリア内戦などの難局に直面する中、自身の権限と政権基盤を早期に強化 […]

トルコのエルドアン大統領は18日、来年11月に予定されていた総選挙と大統領選挙を今年6月24日に前倒しすると発表した。好調な経済の足元で進む通貨リラ安や、シリア内戦などの難局に直面する中、自身の権限と政権基盤を早期に強化する狙いだ。

トルコは昨年、前年から4.2ポイント増となる7.4%の高成長率を記録した。だが、リラは経常収支の悪化を背景に下落を続けており、先月は対米ドルとユーロで8%落ち込んだ。同国の1月の経常赤字は市場予測(69億ドル)を上回る71億ドルに上っており、経済の先行きに黄信号が出ている。当初予定通り来年秋に選挙を実施すると、エルドアン大統領と与党・公正発展党(AKP)が敗北する可能性を排除できない状況だ。

隣国シリアの内戦にクルド人過激派の掃討を理由に介入するなど対外的な難題に直面していることもあり、大統領は早期の選挙実施を通して権力基盤を固めたい考えだ。

トルコでは昨年4月の国民投票で大統領の権限強化に向けた憲法改正が承認された。これにより首相職が廃止され、大統領が行政権を掌握する体制へと移行する。